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バレット食道とは
バレット粘膜が存在する食道をいいます。
食道の粘膜は扁平上皮という細胞でできており、胃の粘膜は円柱上皮という細胞でできています。食道の扁平上皮が胃の円柱上皮に置き換わってしまう状態をバレット食道と言います。
逆流性食道炎による炎症が長期間生じるとなりやすいです。バレット食道自体は特に症状を起こすものではありませんが、バレット食道には食道がんができる可能性が高いために注意が必要です。
食道腺癌の発生原因です。
バレット食道の原因
バレット食道の原因は逆流性食道炎です。胃酸が食道に逆流することで食道の扁平上皮がただれてしまい、治癒の過程で胃の円柱上皮が食道に上がってきて粘膜が変わっていきます。粘膜が置き換わった部分がバレット食道になりますが、この範囲が広ければ広いほどバレット食道がんの発生リスクが高まります。広範囲のバレット食道のことをLSBE、狭い範囲のバレット食道をSSBEと言います。LSBEのがん発生率は年率0.33-0.56%、SSBEは0.19%でリスクはLSBEのほうが圧倒的に高いことがわかっています。日本人は圧倒的にSSBEの方が多いのでリスクは欧米人に比べ低い傾向にありますが、逆流性食道炎が増えてきているため、今後バレット食道がんの発生が増えていくと予測されています。
食道側への胃の粘膜の広がりによって
- 3cm未満のショートバレット食道(SSBE)
- 3cm以上のロングバレット食道(LSBE)
に分けられます。
バレット食道の症状
症状がないこともあります。しかし、多くは逆流性食道炎の症状が現れます。
- 胸やけ・・・
- つかえ感がある・・・
- 酸っぱいものが上がってくる・・・
- 喉のひりつきがある・・・
- お腹が張る感じがする・・・
ほかにもげっぷ、吐気などがあります。
バレット食道の検査
胃カメラをします。
疑わしい部分の組織を採取し、病理検査を行い、確定診断することもできます。
これにより早期の食道がん発見にも大きく役立ちます。
バレット食道の治療
一度発生したバレット食道が改善することはありません。
胃酸の逆流などによってバレット食道が広がっていくのを抑えるために、逆流性食道炎同様に胃酸の分泌過多を抑える薬を使っていくことがあります。
- 胃カメラによる定期的な観察が必要になります。
- 胃酸分泌を抑える薬を中心にした薬物療法を行います。
バレット食道自体を治療することはなく、バレット食道を起こす逆流性食道炎に対して、胃酸を抑えるお薬(PPI)などを飲んで治療をすることがあります。PPIで胃酸を抑えることでバレット食道の範囲が狭まったり、バレット食道がんの発生をを抑制したりすることがわかってきています。ただ、すべての患者様が内服を継続する必要なわけではなく、ハイリスクのLSBEの方に対して、または胸やけなどの症状がある方に治療を行っています。
バレット食道のリスクは逆流性食道炎のほかにもあります。そのほかのリスクとして、男性であること、肥満の人、喫煙者、ピロリ菌非感染者、大腸がんの併存などが可能性として示唆されています。肥満や喫煙に関しては努力にて改善できる部分かもしれません。
逆流を起こしやすい生活習慣を見直して
再発を防ぎましょう
1.食事内容の見直し
以下のものの過剰摂取は控えるようにします。
- アルコール:食道運動機能が低下し、食道の内圧が下がります。
- 高たんぱく、高脂肪、香辛料、高カフェイン(コーヒー・お茶):胃酸の分泌過多につながります。
2.喫煙を控える
喫煙は食道運動の低下、腹圧の上昇を招きます。また喫煙により唾液中のアルカリ濃度が低下するため、唾液が食道に流れた時に胃酸に対する中和能力が落ちます。
3.食べ過ぎない(腹八分目)
食べ過ぎて満腹になりすぎると、胃の内圧が上がってしまい胃酸や胃内容の逆流が起こりやすくなります。
4.食後すぐに横にならない・寝る前には食べない
食後と夜寝ている間は胃酸がよく出ます。
加えて横になる姿勢だと、食道の位置が低くなり重力もかかりにくくなるため、胃酸が逆流しやすくなります。
5.ベルトなどでお腹を絞めすぎない
腹圧が上がり、胃酸の逆流の原因になります。
胃酸の分泌や胃や腸の動きは自分の意志ではコントロールできずに、体が勝手に自律神経を介してコントロールしているのですが、ストレスや生活習慣(食生活・アルコール・タバコ・睡眠など)の乱れがあるとコントロール機能が上手く働かず、胃酸過多になったり、胃や腸の動きが低下し、逆流性食道炎を起こし、胸やけが発生します。ですので、ストレス因子が持続したり、生活習慣が改善しないと、一旦薬でよくなったあともぶり返すことが多いです!