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慢性膵炎とは
膵臓に炎症が長期間持続することで膵臓の機能が低下していく病気です。慢性膵炎は一度進行すると現在の医学では改善させることができないため、進行させないことが大事です。
膵臓は脂肪を分解する酵素を分泌して消化を助ける機能やインスリンなどのホルモンを分泌して血糖のコントロールをする機能などを持っていますので機能低下が起こるとそれぞれの機能によって様々な症状が出ます。
また膵臓の中に膵石と言われる石ができる事があり、膵石に伴う症状が出ることがあります。
慢性膵炎になってしまうと、腹痛のために満足な食事ができなくなってしまう、下痢で日常生活が困難になる、消化吸収が落ちて体力が落ちるなど、生活にさまざまな影響を及ぼします。
慢性膵炎の原因
慢性膵炎の原因として最も多いのは飲酒です。長期間に及ぶ大量の飲酒のよって膵臓の炎症が起こり、慢性膵炎が起こります。飲酒による慢性膵炎は40歳から50歳台に多いのも特徴です。喫煙も慢性膵炎に罹りやすくなると言われています。
その他にも胆石やストレス、家族性のもの、自己免疫性のもの、原因不明のものなど様々です。でも発症することが知られており、なかには原因がはっきりしない場合もあります。
特殊な膵炎の場合は比較的若い人にも起こりえます。
慢性膵炎では、膵液(消化液)の通り道である膵管がひきつれて細くなったり(膵管狭窄)、膵管の中に膵石ができたりして、膵液の流れが悪くなり、痛みが起こると考えられています。膵液が腸にうまく流れないと、膵臓やその周囲に膵液が漏れ出し、仮性嚢胞と呼ばれる膵液のたまりを作ってしまうこともあります。
慢性膵炎の症状
膵臓は胃の後ろにあるので、みぞおちの辺りの痛みや背中の痛みを訴える患者さんが多いです(約80%)。食欲不振、悪心・嘔吐、腹部膨満感など、いわゆる「お腹(胃)の不調」のような症状が一般的です。
- 長期間の繰り返す腹痛
- 長期間の繰り返す背中の痛み・みぞおち(心窩部痛)の痛み
(飲酒後や脂肪分の多い食事をした後に悪化することがある) - 慢性的な下痢が続く
- お酒を長期間のんでいて、量が多い
- 血糖が最近徐々に上昇
- 家族や親せきに慢性膵炎の方がいる
- 食欲がなく痩せてきている
症状の期間は年単位になります(概ね5年前後)ので、数ヶ月・数週間と言う場合は可能性が少なくなります。
症状経過が長いほど膵臓の機能が低下していきます。膵臓が元気なうちは炎症による痛みの症状が強く出ますが、膵臓の機能が低下してくるとかえって炎症は起こりにくくなり痛みの症状が出にくくなります。
慢性膵炎が進行してくると炎症による症状より機能低下による症状が強くなってきます。消化機能が落ちることでの慢性的な下痢、消化不良による体重減少、血糖が上昇することにより糖尿病の発症などがあります。
また慢性膵炎は膵臓がんの発生が通常の方より高率のため、注意が必要です。
慢性膵炎の検査
慢性膵炎の診断は非常に難しいとされます。慢性膵炎は進行すると改善させることができないので、進行する前の早期の段階(早期慢性膵炎)で診断・治療をすることを目指します。
検査としては採血検査、超音波検査・CT・MRIなどがあります。膵石の有無や膵臓の萎縮・脂肪化の具合をチェックします。採血では膵酵素の測定や栄養状態のチェックをおこいます。
慢性膵炎の治療
飲酒が原因の方は禁酒が必要になります。
痛みの症状がある際は鎮痛薬(場合によっては医療用麻薬を使用)、膵酵素阻害薬や経口栄養剤の内服を行います。
また膵石などの為に内服のみで痛みのコントロールが困難の場合は内視鏡による処置や外科的手術を行うことがあります。
膵機能が低下してしまった場合は、該当する機能の補充のために消化酵素薬の内服やインスリンの注射などを行います。
慢性膵炎は早期のうちに、早めに治療をすることで進行が止まったり、改善したりすることが徐々にわかってきています。適切な治療を早期に行うことで良好な予後が期待できます。