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便秘

医師の診察を受けることが
望ましい場合

下記のような症状には、医師の診察を受けましょう。

医師の診察を受けることが望ましい場合

  • 急に便秘するようになった
  • 粘液が便に混じる
  • 血便が出た
  • 細い便になった
  • おなかの激しい痛みがある
  • 発熱を伴うおなかの痛みがある
  • 嘔吐した
  • おなかにしこりができた
  • 便秘がひどく、何をしても改善しない

など

なぜ女性に便秘が
多いのか?

日本人女性のうち、半数以上が便秘に悩んでいるといわれています。女性が男性よりも便秘になりやすい理由は以下の通りです。

身体的理由

女性は男性に比べて腹筋が弱いため、大腸の便を外へ送り出す力が弱いといわれています。

ホルモンの作用

女性ホルモンの一つである黄体ホルモンは、身体に水分や塩分をため込むように指令を与え、大腸の腸壁から水分を吸収して便を硬くします。また、黄体ホルモンは、妊娠時の流産を防ぐために子宮筋の収縮を抑える作用があり、これも腸に影響して腸の動きを悪くします。便秘は、黄体ホルモンが大量に分泌される月経前や妊娠初期に特に起こりやすいです。

無理なダイエット

食事の量が少ないと、食物繊維、水分、脂肪が少なくなり、便の動きに影響を与え、便が硬くなり排出されにくくなります。

精神的な理由

精神的な理由女性は多忙さや、人前での羞恥心が原因でトイレに行くことを我慢する場合が多いです。また、旅行など環境の変化によるストレスを受けやすいことも便秘に影響しています。

便秘の種類

器質性便秘

狭窄性

便が通過する際、腸の狭窄による物理的障害によって起こる便秘です。
原因には、腫瘍性疾患(大腸がん、腹腔内腫瘍による硬膜外圧迫など)および非腫瘍性疾患(クローン病、虚血性大腸炎など)が含まれます。

非狭窄性

狭窄は見られないものの、大腸の形態変化によって起こる便秘です。

排便回数減少型

大腸が長期にわたり、顕著に拡張し、大腸を通過する便の通過が遅れ、排便の回数および量が減少する便秘です。
原因には巨大結腸などが含まれます。この型には腹部X線検査、経腸X線検査などを行い、大腸の顕著な拡張が長期にわたっていると確認することで診断します。

排便困難型=
器質性便排出障害

直腸の形態的変化により便排出障害が生じ、直腸内の便が十分な量で快適に排出されず、排便困難や不完全排便による残便感が生じる便秘です。
原因としては、直腸瘤、直腸重積症、巨大肛門症、小腸瘤、S状結腸瘤などが挙げられます。排便造影検査やバルーン排出検査などで診断されます。軟便でも排便困難や不完全排便をきたす便排出障害で、器質的な病態に起因することから器質性便排出障害と呼ばれます。

機能性便秘

排便回数減少型

排便回数や排便量の減少、大腸への便の過剰蓄積により、おなかの膨満感や痛みなどの症状を引き起こします。大腸での便の停滞時間が長いために硬い便となり、便の硬さのために排便困難となることもあります。大腸通過時間検査などの専門的検査の結果により、この病態は「大腸通過遅延型」と「大腸通貨正常型」に分類されます。

大腸通過遅延型

大腸の便を運ぶ機能が低下し、排便の回数や量が減少する便秘です。原因には、特発性(原因不明)、症候性、薬剤性などがあります。大腸通過時間検査により、大腸の便輸送能力の低下を診断します。

大腸通過正常型

大腸の便を運ぶ機能は正常に働いているにもかかわらず、便の回数や量が減少する便秘です。原因は、便の元となる食事の摂取量や含有量(食物繊維成分)が少ないために便の量が減少し、排便回数が減少し、便が硬いために排便困難などの便秘症状が出現する病態です。大腸通過時間検査で大腸の輸送能力が正常であることが診断の根拠となります。しかし、大腸通過時間検査自体の診断性能により偽陰性(大腸通過時間が正常と診断されたにもかかわらず、実際には大腸通過遅延型であった場合)の可能性もあります。

排便困難型

直腸内の便が排便時に十分な量で快適に排出されず、排便困難や不完全排便による残便感が生じる便秘です。

大腸通過正常型

排便回数や排便量が減っていないにもかかわらず便が硬く、硬い便が排便困難や過度のいきみを引き起こす便秘です。
酸化マグネシウムなどで便を軟らかくすると排便困難症状が消失し、排便造影を行うと疑似便が速やかに完全に排出されることが特徴です。

機能性便排出障害

直腸から十分な量の便が快適に排出されず、排便困難または不完全な排便による残便感が生じる便秘です。便排出障害をきたす機能的病態によって起こります。原因としては、骨盤底筋の協調運動障害、腹圧(いきむ力)の低下、直腸感覚の低下、直腸収縮力の低下などが挙げられます。排便造影検査やバルーン排出検査で診断されます。軟便でも排便困難や不完全排便を生じる便排出障害で、機能的な病態に起因することから機能性便排出障害と呼ばれます。一方、軟便であっても排便困難な場合や残便感を訴える症例に糞便造影検査をしても、仮性便は速やかに完全に排出されるため、排便障害の所見は認められないことがあります。体外に排出されるべき便が直腸内にないにもかかわらず、残便感(偽便)を訴えて過剰にいきんだり、頻繁にトイレに行ったりする強迫性排便神経症の可能性があり、本来の便秘ではありません。

便秘の治療

便秘の治療下剤(便秘薬)は、その作用によって、主に2つに大別されます。1つは腸内の水分を集めて便を軟らかくする「非刺激性下剤」です。もう1つは、腸の動きを活性化し排便を促す「刺激性下剤」です。一般的には、まず非刺激性下剤を用います。そして効果が不十分な場合は、刺激性下剤を加えていきます。
市販の便秘薬も非刺激性便秘薬と刺激性便秘薬に大別されるますので、購入前にどのようなタイプの便秘薬なのかを理解しておくことが望ましいです。

主な便秘薬の成分
(作用別)

種類 主な成分 作用
便を軟化する
非刺激性
塩類下剤 酸化マグネシウム、
水酸化マグネシウムなど
塩類が腸管内に水分を取り込み、便を軟化させる
膨潤性下剤 プランダコ・オバタ種子
(食物繊維)
腸管内で水分を取り込み、便を軟化させる。そうすることで、腸の蠕動運動も活性化させる
潤滑性下剤 ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)など 腸管内に水分を取り込み、界面活性作用で便を滑りやすくする
腸の動きを
活性化させる
大腸刺激性
刺激性
下剤
センノシド、センナ、ビサコジル、ピコスル
ファートナトリウムなど
腸粘膜や神経を刺激して、腸の蠕動運動を活性化させる
漢方薬 大黄、甘草など 腸粘膜や神経を刺激して、腸の蠕動運動を活性化させる

便秘解消のために
できること

便秘解消のためにできることまずは生活習慣と食生活を改善しましょう。できれば毎日20~30分歩きましょう。歩くことは腸の蠕動運動を活性化します。
また、1日3食、なるべく決まった時間にしっかり食べるようにしましょう。特に朝食をしっかりとることが大切です。
ある研究によると、便秘の大学生の約30~50%が朝食を食べておらず、便秘でない大学生の朝食摂取量と比べると明らかな差があることがわかりました。
食物繊維を多く含む食品は、食生活おいて重要です。食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があります。水溶性食物繊維は果物、海藻、こんにゃくなどに含まれ、便の中に溶け込んで便を軟化させます。それにより、腸の通過を良くする効果があります。不溶性食物繊維は、豆類、根菜類、野菜類、きのこ類などに多く含まれ、腸の蠕動運動を活性化させます。それにより、滑らかな排便効果が期待できます。
また水分摂取も心がけてください。水分摂取は便を軟化させ、排便を促進します。

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