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胃潰瘍・十二指腸潰瘍
とは
胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは、胃酸の刺激によって胃や十二指腸の粘膜、上皮が損傷をうけて傷ついている状態のことを言います。症状として一番多いのは、みぞおち付近の痛み(心窩部痛)です。初期症状を放置して症状が進行すると、出血(吐血・血便)や穿孔を伴うことがあります。また、胃潰瘍・十二指腸潰瘍はヘリコバクターピロリ菌感染が原因であることが多く、ピロリ菌感染は胃がんを発症するリスクが高くなることが知られています。
昔は再発を繰り返すことから、完治が極めて難しい疾患だと思われてきました。手術が行われることも多かったのですが、近年では新薬が開発されたり研究が進んで原因が解明されたりするようになったため、内服治療だけでほぼ完治できる疾患となりました。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因
胃酸の消化作用が過剰になってしまい、胃の内壁が損傷することで発症します。
「生活習慣によるもの」「ピロリ菌感染によるもの」「薬の副作用」の3つに分けられます。
生活習慣によるもの
環境の変化などの精神的なストレスによって胃の粘膜の働きと胃酸のバランスが崩れることで十二指腸潰瘍を発症する恐れがあります。ストレスのみでの胃潰瘍は比較的少ないです。
適度な運動や十分な睡眠、ストレス発散をすることを心がけましょう。食事面では暴飲暴食、アルコール・カフェインの取りすぎは要注意です!バランスの取れた食事を取ることを心がけましょう。
ピロリ菌感染によるもの
胃潰瘍・十二指腸潰瘍ではピロリ菌に感染が原因であることが最も多いです。
ピロリ菌の感染です。ピロリ菌とは、胃の中に棲む糸状の細菌で、胃の粘膜を傷つけたりすることで、胃潰瘍・十二指腸潰瘍を引き起こすとされています。
ピロリ菌の除菌治療をおこなうことは胃潰瘍・十二指腸潰瘍の治療のみならず再発防止にも繋がります。またその先にあり胃がんのリスクも軽減できますので、胃潰瘍・十二指腸潰瘍を発症しやすい方は一度胃カメラ検査とピロリ菌の検査を行うことをお勧めします。
薬の副作用
胃潰瘍・十二指腸潰瘍は非ステロイド性抗炎症薬による副作用として発症する場合があります。
非ステロイド性抗炎症剤は解熱や炎症を抑えるために処方される薬剤ですが、胃粘膜を保護するプロスタグランジンという物質の分泌を抑える働きがあるため、胃粘膜が傷つき易くなります。
少ない内服回数でも潰瘍になってしまう方もいますので、みぞおちの痛みなどの症状のある方は受診をしてください。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の症状
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の検査
胃カメラ検査
胃カメラ検査とは、スコープ(内視鏡)を口や鼻から挿入し、胃の中を直接観察する検査です。胃のどこに異常があるのか、胃がどのような状態なのかを正確に把握する検査です。 近年では、比較的若い方でも「胃がん」にかかるケースが増えています。健康な毎日を送るためにも、定期的に胃カメラ検査を受けることをお勧めします。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の治療
胃カメラ検査実施時に潰瘍から出血している場合は内視鏡的止血術を行います。内視鏡的止血術を行う方は、その後入院をお願いするケースがほとんどですので、入院が可能な施設への紹介を行っています。
出血が見られなかった場合は、1~2か月の間、薬物の内服で治療を行います。主に、胃酸の分泌を抑える制酸剤や粘膜の保護を行う粘膜保護剤などを使用し、胃粘膜の治癒をはかります。
制酸剤はPPI(プロトンポンプ阻害薬)やPCAB(イオン競合型アシッドブロッカー)がメインの薬剤になります。
また、再発防止のためにピロリ菌検査と除菌治療を受けることもお勧めしております。
ピロリ菌感染が確認された場合は胃潰瘍治療を行った後にピロリ菌除菌を行います。