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便で分かる体の調子
便は自分の体、特に消化器の健康状態を知る1つの指標になります。一般的に健康な便の状態は、「黄褐色のバナナ状でふっくらとしており、半ねり状、そして臭いがきつくない便」とされています。しかし、柔らかすぎたり硬すぎたり、便秘、下痢といった状態の便が続く場合には、体の中で何らかの異常が生じている可能性があります。今回は、そんな私たちの健康の指標でもある便の色や性状について、お話していきます。
健康な便の色
健康な便の色は「黄色～黄褐色」です。これは、胆汁に含まれるステルコビリンという色素によるものです。しかし、便の色は体調不良や食べたもの、飲んだものなどによって、多彩な色へと変化します。それぞれの便の色から、考えられる原因についてご紹介します。
さまざまな便の色とその原因
- 黄色： 牛乳の飲みすぎ、下剤の服用
- 黄褐色：黄土色から薄い茶色であれば、良好な色。
- 茶色・茶褐色：食べ過ぎや飲みすぎ。
- 緑色：消化不良、急性腸炎、クロロフィル（緑黄色野菜）を含む食材の影響
- 灰白色：バリウム検査、肝臓疾患、腸結核、すい臓疾患
- 黒色（タール便）：食道・胃・大腸・十二指腸など上部消化管からの出血、鉄剤の服用、薬剤（ステロイドなど）、イカ墨料理。
- 赤褐色：大腸がん、大腸ポリープ、大腸憩室、虚血性腸炎
- 鮮やかな赤色：いぼ痔、切れ痔、肛門裂傷
特に気をつけたい便の色
主に3つです。下記の色の便がみられたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
何らかの疾患が疑われます。
① 鮮血便（真っ赤な便）
便が赤い場合には、下部消化管からの出血が疑われます。具体的には痔・大腸などの疾患で、大腸がん、潰瘍性大腸炎・クローン病、虚血性大腸炎、大腸憩室炎などがあります。出血して、あまり時間が経たない内に便と排出されるため、明るい色味をしていることが多いです。
② 黒色便（タール便）
黒色の便は、上部消化管からの出血が疑われます。出血直後は真っ赤ですが、下部消化管などを通過する間に酸化し、黒くなります。具体的な疾患には、食道癌や胃・十二指腸癌、胃・十二指腸潰瘍などが挙げられます。
③ 灰白色便（白色～やや黄味がかった便）
灰白色便がみられた場合は、膵臓や胆管の疾患が疑われます。健康的な便の色は、胆汁色素であるステルコビリンによって黄色や黄褐色になっています。しかし、この胆汁が上手く排出されないと灰白色便になります。具体的には、肝炎や胆石症、胆のう癌、胆管癌などが挙げられます。ロタウイルスなどによる腸炎が原因となることもあります。
便の性状
様々な便の性状を図で表したものをご紹介します。
上記の図では、3番～５番が正常の範囲内です。
1番のコロコロ便は、水分不足や食生活の乱れ、ストレスなどが原因で腸が正常に動いていない状態です。水分をしっかりと摂取し、食生活を改善すること、そしてストレス軽減に努めることでほとんどは改善されます。しかし、コロコロ便が続く人は、過敏性腸症候群という疾患の可能性があります。6番の泥状便は、お酒やお肉・油物が好きな人に多い傾向があります。そのような食品を控え、野菜や穀物、発酵食品を積極的にとるとよいです。
便に不安をお持ちの方は、診察の際に上記の表を用いて、医師にお話ししていただくと、より状態が伝わりやすいかと思います。
最後に
良い便を作るには、バランスを考えた食事をとり腸内環境を整えることやストレスと上手くつきあっていくこと、軽い運動を取りいれた規則正しい生活を送り大腸の蠕動運動を促すことが大切です。排便時には自分の便を観察し、健康状態を確認する機会にしていただければと思います。その中で、ご心配な点等があれば、いつでもご来院ください。